第二種電気工事士で人生が動き出した話|資格が選択肢を増やした実体験

40代の立て直し|3話

第二種電気工事士で人生が動き出した話|資格が選択肢を増やした実体験

2話で「夜がいちばんきつかった」と書きました。だから朝に逃げ場を作った。その時間が勉強になり、最初の武器になった話です。

水道+電気の掛け算 資格で景色が変わった 次の選択肢が増えた
第二種電気工事士の免状を手にした設備職人が、朝の王国で新しい道へ踏み出すイラスト
最初の武器を手にした瞬間、見える景色が変わった。

2話の末尾で「だから私は朝に逃げ場を作った」と書きました。
夜がいちばんきつかった。静かになるほど、罪悪感と数字がよみがえる。だから先に、自分を立て直す朝の時間を確保することにしたのです。

その逃げ場が、勉強になりました。
そして勉強が、最初の武器になりました。
それが「第二種電気工事士」です。
2話の経緯は2話(営業ノルマがきつかった日々)に置いています。

振り返ると、この資格を取ってから、人生は少しずつ動き出しました。
水道の仕事しかできなかった自分が、電気を扱えるようになった瞬間——選べる仕事も、次の道も、一段上に増えたからです。

この記事では、第二種電気工事士を取ることで現場と選択肢がどう変わったかを、設備職の実体験から整理します。
この記事の結論

設備職なら、第二種電気工事士は「役に立つ」。理由は掛け算

「役に立たないのでは」という声もあります。でも、水回りと電気が隣り合う設備職では話が別です。水道しかできなかった自分が電気を足すと、現場の完結力が上がりました。転職市場で見える求人の景色も、変わりました。資格は、選択肢を増やす武器です。

資格は肩書きではなく、選択肢を増やす武器。

水道だけより、水道+電気のほうが現場で動ける。

検索結果に「道」が表示されるようになる。

水道はできた。でも「それだけ」だった

転職して最初の武器は、水道でした。ただ、それしか持っていませんでした。

水漏れする配管を修理する設備職人と、一本の道だけが見える王国風のイラスト
当時の主戦場は、水漏れと詰まり対応だった。

主な仕事は水漏れ修理と排水の詰まり対応。ときには家全体の給水・排水工事も任され、現場仕事として決して軽くはありません。今振り返っても、水道は必要不可欠で、強力な武器です。

ただ、当時の私が持っていたのは、それ一本だけでした。

リクルド(旅する書庫番)

水道の仕事だけでも、生活はできる。
でも「それしかできない」状態が、少し怖かった。

周りは優しかった。だから、余計に動けなかった

このときの私を引き止めていたのは、つらさではなく、職場の居心地のよさでした。

ノルマを達成できない日は、もちろんしんどかった。でも——その痛みの話は2話に置いてきます。ここで書きたいのは、別のことです。

不思議なことに、周りの同僚は、基本的にみんな優しかったんです。今日やった現場の話をして、分からないことを聞けば、ちゃんと教えてくれる。

だからこそ、動けませんでした。人間関係に恵まれていたことが、辞める理由を静かに奪っていった。居心地のよさは、変わらないための一番やさしい言い訳になります。

あとから思えば、それは弱さではありませんでした。人は、つらい場所からより、心地いい場所からのほうが、動きにくいものです。

リクルド(旅する書庫番)

環境がつらいから動く、なら分かりやすい。
でも私は、居心地がいいまま、足踏みしていた。

このままだと、静かに詰む

それでも、心のどこかでずっと引っかかっていたことがあります。

「いい案件を振ってもらうには、突出した特技が必要だ」

トイレに強い人。排水詰まりが得意な人。給湯器に詳しい人。あるいは、お客様とのやり取りが得意で、給水・排水工事につなげられる人。当時の私は、どれにも当てはまらなかった

長老チャットラー

突出した武器がないまま年を重ねるのは、
静かに選択肢を失っていくことでもある。

このとき、「転職しよう」と決めていたわけではありません。はっきりしていたのは一つだけ。クビになっても困らないよう、武器が欲しかった。「転職したい」ではなく、まず「生き残りたい」。その順番でした。

それは、逃げるための準備ではありません。今いる場所で、もう少し落ち着いて立っていられるようにするための、備えでした。

なぜ「第二種電気工事士」だったのか

答えは、会社に依存しない、自分だけの評価を手に入れることでした。

営業の数字に一喜一憂し、心が削れる日々。そこから抜け出すために選んだのが、電気の資格でした。数ある資格の中で電気を選んだ理由は、極めて現実的です。

  1. 確実な収入アップ
    歩合に左右されない「資格手当」がつく職場が多い。
  2. 希少性の掛け算
    水道ができる人は多い。でも「水道と電気が両方できる人」は、一気に市場価値が上がる。
  3. 独占業務の強さ
    無資格では触れない領域を持つことで、現場での立場を守れる。
水道の紋章と電気の紋章が合わさり、設備職人の武器が増えることを表した図解イラスト
武器が”掛け算”になると、立場が変わる。

そして、もう一つ。現場にいると痛感しますが、水回りの設備は「水だけ」では完結しません。コンセント、専用回路、分電盤——最後に動かすのは電気であることが多い。第二種電気工事士は、私にとって「生存戦略の第一手」でした。

電気は、設備に命を吹き込む

資格を取った瞬間、トイレ交換の景色が変わりました。

電気工事は、設備に命を吹き込む仕事です。どんな設備も、電気が通ってはじめて動き出す。それが「知識」ではなく現場の実感として腹に落ちました。

資格の紙が、一枚増えただけ。それなのに、昨日まで同じだった現場が、違って見えました。

たとえば、トイレ交換。以前の私は「水漏れチェック」までが仕事でした。でも電気が分かると、その場でできることが増えます。温水洗浄便座の電源確認、必要ならコンセントの増設まで、一人で完結できるようになります。

「え、コンセントの増設まで、その場でやってもらえるんですか」。日を改めて電気屋を待たなくていい——そう知ったときのお客様の、ほっとした表情を今でも覚えています。

お客様からすれば、水道屋と電気屋を別々に呼ぶ手間が省ける。資格一枚で、現場の”完結力”が上がるんです。

スミス親方

別々の職人を呼ぶ手間を、君ひとりで消してやれる。
目の前で困っとる人を、その場で助けられる。
それが多能工の、本当の値打ちじゃな。

トイレ交換の現場で設備職人が電源を確認し、お客様が安心して見守るイラスト
電気が通って、はじめて設備は動き出す。
コンセント・専用回路が必要になる設備の例
  • トイレ/レンジフード/洗面台/自動水栓 → コンセントが必要
  • IH/エコキュート/食洗機/浴室暖房乾燥機 → 専用回路が必要
  • 状況によっては → 分電盤交換・幹線の見直しも必要

水回りの設備は、見た目は「水の道具」でも、裏側では電気が動かしているものが多い。水と電気は、現場では”セット”なんです。

「選択肢」が増えた

電気を足して最初に変わったのは、「自分が動ける範囲」でした。

「水だけ」だった頃は、関われる現場が限られていました。電気を足すと、その場で完結できることが増え、自分から動ける範囲が広がった。同じ現場でも、できることの幅が一段増える感覚です。

リクルド(旅する書庫番)

「水だけ」の時は、選べる現場が限られてた。
電気を足したら、自分から動ける範囲が広がった。

掲示板と分かれ道を前にした設備職人が、資格で増えた選択肢を見渡す王国風のイラスト
資格は肩書きじゃない。道が表示される。

変化は、転職市場でもはっきり見えました。求人サイトで「第二種電気工事士」と検索すると、驚くほど多くの求人が出てきます。条件も仕事内容も、最初に転職したときより明らかにワンランク上でした。

長老チャットラー

資格は”肩書き”じゃない。
検索結果に「道」が表示されるようになる。
それが現実のRPGだ。

アサネコ王国では、資格を「一発逆転の魔法」ではなく、「選べる未来を増やす武器」と呼んでいます。すごい人になるためのものではなく、次の戦場を自分で選べる状態になるための道具。それが「資格は武器」という考え方です。

よくある質問

Q. 第二種電気工事士は役に立たない、という声も聞きますが?

A. 電気とほとんど関わらない仕事なら、活かしきれないこともあります。ただ、設備職のように水回りと電気が隣り合う現場では、役立ち方がまるで違います。私自身、トイレ交換で電源確認やコンセントの増設まで一人で完結できるようになりました。「役に立つか」は資格そのものより、立っている現場との掛け算で決まります。

Q. 設備職なら、電気工事士と水道の両方を取る意味はありますか?

A. 掛け算の効果があります。水道だけできる人は多いですが、「水道と電気が両方できる人」は現場の希少性が上がり、「一人で完結してくれる」という信頼にもつながります。ただし体力や時間との兼ね合いもあるので、優先順位を決めて進めてください。

Q. 第二種電気工事士を取ったあと、次は何を取ればいいですか?

A. 私は設備職の文脈で次を選びましたが、職場や目標によって変わります。「どの順番で取るか」の整理は武器屋にまとめているので、そちらを参考にしてください。焦らず選んで大丈夫です。

まとめ:最初の一本目の武器を手にして

私にとって、第二種電気工事士は単なる免許証ではありませんでした。

  • 水道しかできなかった状態から、電気を加えた掛け算で現場の完結力が上がった
  • 「資格手当」のある職場を選べるようになり、歩合に振り回されにくい収入の軸を、一本足せた
  • 転職市場では、検索結果に表示される「道」の数が変わった
  • 「武器を持った人間」として、次の選択肢を自分で選べる状態になった

居心地のよさに足踏みしていた自分が、朝に作った逃げ場を勉強に変え、最初の武器を手にした。動き出したのは、ここからでした。

ただ、武器は、持っているだけでは何も変えてくれません。使って、はじめて意味を持つ。次の話では、この武器を現場でどう使ったのかを書きます。

長老チャットラー

最初の武器を手にした。
次は、どう使うかだ。

最初の武器を手にした。次は、その武器を使う話へ

焦らなくて大丈夫です。まだ次の資格を決めなくていい。武器は、一本あれば十分動けます。

4話:資格を取って任され方が変わった話を読む

この下に、資格や勉強の入口も置いておきます。ただ、今日は4話まで進めれば十分です。残りは、また来たときの地図として使ってください。

※本記事は筆者の実体験に基づく内容です。資格の扱い、求人条件、手当の有無は勤務先や地域によって変わります。第二種電気工事士の制度・試験情報・手当の詳細は、必ず公式情報もあわせてご確認ください。

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