給水装置計画論の計算は6パターン|2つの式で見分ける独学攻略

給水装置工事主任技術者|給水装置計画論

計画論の計算は6パターン|2つの式で見分ける独学攻略

バラバラに見える計画論の計算は、6つの型に整理できます。 しかも、たどり着く式は2つだけ。見分けて当てはめれば、捨てずに済みます。

計算は6パターンだけ たどり着く式は2つ 見分けて当てはめる
給水装置計画論の計算を6型から2式へ整理する見分け地図を、ノートとカードで表したアイキャッチ
計画論の計算は、6パターンに見えても、入口は2つに整理できます。

給水装置工事主任技術者の勉強で、給水装置計画論の計算問題を見た瞬間に 「あ、これは飛ばそう」とページを閉じたこと、ありませんか。私はありました。

集合住宅の同時使用水量、事務所の負荷単位、受水槽の容量、全所要水頭。 問題ごとに表が違い、図が違い、求めるものも違う。 一つひとつ覚えようとすると、量に押し潰されて 「計算は捨てるしかない」と思ってしまう。気持ちはよく分かります。

でも、先に結論を言います。 計画論の計算は、6つのパターンに整理できます。 そして、その6つがたどり着く先は、たった2つの式だけです。 バラバラに見えていたものが、見分けて当てはめるだけの作業になります。

この記事の対象について先にお伝えします。 これは、給水装置工事主任技術者試験の計画論で出る計算問題を、 独学で受験する人向けに整理した記事です。 実務の申請用計算書を作るためのものや、 自治体ごとの設計基準に対応した計算ツールではありません。 あくまで「試験で計算問題を捨てないため」の地図として読んでください。

一つだけ、点数より先にお伝えしたいことがあります。 計画論には、科目ごとの最低ライン(足切り)が設けられることがあります。 計算を最初から全部捨ててしまうと、他がどれだけ取れていても、 その一科目だけで崩れてしまうことがある。 これは脅しではありません。ただの仕組みの話です。 でも、だからといって計算を得意になる必要も、満点を取る必要もありません。 必要なのは、たった一つ。 「捨てない」。それだけで十分です。 その一線を守るための地図が、この記事です。

設備屋として働きながら独学で給水装置工事主任技術者を取った私も、 最初は計算問題を見た瞬間に、ページを閉じる側の人間でした。 そんな私が、計画論の計算を「6つの型」に分けて、それぞれが どの式に向かうのかを整理します。 全部を覚える記事ではありません。 「これはどの型か」を見分けられるようになる地図です。

この記事の結論

計画論の計算は6パターン。 同時使用水量(集合住宅・事務所)、受水槽容量、全所要水頭、 直管換算長、ポンプ吐水圧。一見バラバラですが、 たどり着く式は次の2つだけです。 計算は才能じゃなく型ゲーです。 まず「どの型か」を見分けて、2つの式のどちらかに当てはめる。それだけです。

式その1|損失をたどる 動水勾配(‰)
= 損失水頭 ÷ 長さ × 1000
式その2|水頭を足し引きする H = h’(立上り)
+ Σh(損失)+ M(余裕)
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計画論の計算は「6パターン × 2つの式」

計画論で問われる計算は、大きく6パターンです。 そのどれもが、2つの式のどちらかに向かいます。

まず、6パターンを並べます。 これだけ見ると多く感じるかもしれませんが、 この後で「2つの式」に整理し直すので、今は眺めるだけで大丈夫です。

  • ① 集合住宅の同時使用水量(標準化した同時使用水量)
  • ② 事務所の同時使用水量(給水用具給水負荷単位)
  • ③ 受水槽の容量
  • ④ 全所要水頭(給水管の口径決定)
  • ⑤ 直管換算長を含めた損失
  • ⑥ 直結加圧形ポンプユニットの吐水圧

このうち④⑤⑥は、突き詰めると 「損失水頭をたどって、配水管の水頭に収まるか」を見る計算で、 動水勾配と流量図を行き来します。 これは別記事の水理計算編で詳しく扱っています。

①②③は、この記事の中で型を示します。 ④⑤⑥は、水理計算編へ静かにつなぎます。 この記事の目的は、計画論の計算を全部覚えることではなく、 「どの型か」を見分けられるようになることです。 型さえ分かれば、あとは表と図から数値を拾うだけになります。

リクルド(旅する書庫番)

問題集を開くたびに、表も図も毎回違って、もう無理だと思ってた。
「6パターンしかない、式は2つ」って言われて、ようやく手が止まらなくなった。

6パターンの見分け方(早見表)

型を見分ける入口は一つだけ。問題文が「何を聞いているか」です。 下の表が、この記事のいちばんの核になります。 使い方はシンプルで、問題を解き始める前に、 まず「これはどの行だろう」と当ててみてください。 解く前に行を当てる——この一手間で、型が指紋のように頭に残っていきます。

こう聞かれたらこの型 使う道具 向かう式
①集合住宅 「○戸の集合住宅の同時使用水量」 表3つ(用具→使用率→戸数率) 掛け算で絞る
②事務所 「事務所ビルの同時使用水量を負荷単位で」 負荷単位の表+同時使用水量図 図で読む
③受水槽 「受水槽の容量」「1日使用水量」 使用人員 or 延床面積 ×0.4〜0.6
④全所要水頭 「全所要水頭」「必要な口径」 動水勾配+流量図 H=h’+Σh+M
⑤直管換算 「直管換算長を含めて」「摩擦損失」 動水勾配+流量図 損失÷長さ×1000
⑥ポンプ 「直結加圧形ポンプの吐水圧」 下流側の損失+立上り+余裕 H=h’+Σh+M

見ての通り、向かう式は右の2系統だけです。 ①②③は「使用水量・容量を求める」グループ、 ④⑤⑥は「水頭・損失をたどる」グループ。 後者はすべて、動水勾配の式と 「H=h’+Σh+M」に集約されます。

つまり、問題を見て最初にやることは一つだけ。 「使用水量を求めるのか、水頭をたどるのか」を当てる。 この二択さえ当てられれば、半分はもう終わっています。

給水装置計画論の6パターンを、使用水量容量グループと水頭損失グループの2系統に分けた見分けマップ
6パターンを2つの入口に分けると、計算問題の見分けが軽くなります。

同時使用水量は2タイプある(集合住宅・事務所)

同時使用水量は、集合住宅と事務所で考え方が変わります。 ここを混同すると、表の選び方から間違えます。

型① 集合住宅:3つの表で「掛けて絞る」

集合住宅は、「標準化した同時使用水量」という方法で求めます。 ポイントは、絞り込みが2段階あることです。 1戸の中での同時使用を絞り、さらに戸と戸の間の同時使用を絞る。 この2段階を、表を使って掛け算していきます。

型①の手順

  1. 1戸の給水用具の使用水量を全部足す
  2. 用具数から「同時使用水量比」を表で読み、掛ける(1戸あたりに絞る)
  3. 戸数から「同時使用戸数率」を表で読み、戸数と一緒に掛ける(全体に絞る)

王国オリジナルの簡略例で、流れだけ見てみます。 1戸に給水用具が4個、使用水量の合計が60L/分、 用具数4個に対応する同時使用水量比が2.0だとすると——

簡略例(型①)

1戸あたり = 60 ÷ 4 × 2.0 = 30 L/分

全体 = 30 × 10戸 × 0.9(戸数率)= 270 L/分

数字そのものより、 「用具で1回、戸数でもう1回、掛けて絞る」という 2段階の形を覚えてください。これが型①の指紋です。

型② 事務所:負荷単位を足して「図で読む」

ここで一度、型①の手つきを思い出してください。 水量を足して、表で掛けて、絞り込みましたよね。 ところが事務所では、その手つきが通用しません。 同じ「同時使用水量」という名前なのに、足すのが水量ではないからです。 使うのは「給水負荷単位」。 各用具の負荷単位を足し上げて、その合計を 専用の図(同時使用水量図)に当てて、流量を読み取ります。

型②の手順

  1. 各給水用具の「給水負荷単位」を表で確認する
  2. 用具数を掛けて、全部足し上げる(負荷単位の累計)
  3. 累計を同時使用水量図に当てて、流量を読む

簡略例だと、1事務所の負荷単位の合計が13、 これが4事務所なら——

簡略例(型②)

負荷単位の累計 = 13 × 4事務所 = 52

52を同時使用水量図に当てて、流量を読む

ここが型①との決定的な違いです。型①は表で掛け算して 式で答えを出すのに対し、 型②は最後に図で読む。 「掛けて絞る」のか「足して図で読む」のか。 この違いが分かるだけで、同時使用水量の混乱はかなり減ります。

リクルド(旅する書庫番)

同じ「同時使用水量」だから、ずっと同じ解き方だと思ってた。
集合住宅は掛け算、事務所は図読み。分けた瞬間、別物だって腑に落ちた。

型③ 受水槽容量は「1日使用水量 × 0.4〜0.6」

受水槽容量の型は、計画論の計算でいちばんシンプルです。 1日使用水量を出して、0.4〜0.6を掛けるだけです。

まず「計画1日使用水量」を求めます。 使用人員から出す方法(1人1日使用水量 × 人員)と、 延床面積から出す方法(単位床面積使用水量 × 延床面積)の 2通りがありますが、問題で与えられた条件のほうを使います。 そのあと、0.4〜0.6を掛けて容量の範囲を出します。

受水槽容量 = 計画1日使用水量 ×(0.4〜0.6)

簡略例だと、使用人員100人、1人1日0.25m³なら——

簡略例(型③)

1日使用水量 = 100人 × 0.25 = 25 m³

受水槽容量 = 25 ×(0.4〜0.6)= 10〜15 m³

答えが「範囲」で出るのが、この型の特徴です。 選択肢も範囲で示されることが多いので、 計算した範囲に合うものを選べば正解です。

ここまでで、もう型を3つ見分けられるようになりました。 「計算は捨てるしかない」と思っていた人ほど、 この受水槽の型は拍子抜けするくらい簡単に感じるはずです。 苦手だったのは、あなたの頭ではありません。 ただ、6つの型が整理されていなかっただけです。

全所要水頭・直管換算・ポンプは「水理計算」で解く

残る④⑤⑥は、すべて「動水勾配を出して、流量図で読む」 という同じ動作に集約されます。

全所要水頭(型④)、直管換算長を含めた損失(型⑤)、 直結加圧形ポンプの吐水圧(型⑥)。 この3つは、表で掛け算するのではなく、 損失水頭をたどって配水管の水頭に収まるかを見る計算です。 使う道具は動水勾配とウエストン流量図。 向かう式は「H=h’+Σh+M」です。

この3パターンは、別記事の水理計算編で 手順を一つずつ追っています。 ここで重ねて書くと長くなりすぎるので、 詳しい解き方は水理計算編に譲ります。 この記事では「④⑤⑥は水理計算のグループ」とだけ 覚えておけば十分です。

計画論の計算で、やらない方がいいこと

遠回りを減らすために、避けたほうがいいことが3つあります。

① 計算を丸ごと捨てる

いちばん避けたいのがこれです。計画論には科目ごとの 最低ライン(足切り)があり、計算を全部落とすと、 他で取れていても崩れることがあります。 満点でなくていいので、「どの型か見分けて、解ける型だけ取る」 という構えがちょうどいいです。

② 6パターンを一度に全部覚えようとする

最初から全部やろうとすると、量に押し潰されます。 まず「集合住宅と事務所の見分け」だけ、次に「受水槽」、 水頭系は水理計算編で、と分けて進めるほうが続きます。

③ 実務用の計算ツールを探しに行く

試験の計算と、実務の申請用計算は別物です。 実務向けのエクセルや計算ソフトを探しても、 試験対策にはつながりません。 試験で問われるのは「型を見分けて、表と図から拾う」力です。 ここでは、それに集中してください。

この記事が向いている人・向いていない人

この記事は地図です。誰に効いて、誰には物足りないかを 正直に書いておきます。

向いている人

独学で給水装置工事主任技術者を目指していて、 計画論の計算が苦手で捨てかけている人。 「どの型か見分けたい」「捨てずに済ませたい」人。

向いていない人

実務の設計計算書を作りたい人。 自治体ごとの設計基準に合わせた計算ツールを探している人。 この記事は試験対策の入口用です。

よくある質問

Q. 給水負荷単位とは何ですか?

A. 給水用具の種類ごとに、使用頻度や使用時間、 同時に使われる度合いを見込んで、 給水の流量を単位化したものです。 事務所ビルなどの同時使用水量を求めるとき (型②)に使います。大便器・小便器・洗面器などで 値が決まっていて、それを足し上げて図に当てます。

Q. 同時使用水量比とは何ですか?

A. 給水用具1個あたりの平均使用水量の、何倍の水量が 同時に使われるかを示した数値です。 集合住宅の同時使用水量を求めるとき(型①)に、 用具数に応じて表から読み取って使います。 用具数が増えるほど、同時に全部は使われないので、 絞り込みの係数として働きます。

Q. 計算問題は何点くらい出ますか?

A. 出題数や配点は年度によって変わるため、 受験する年度の試験案内で確認してください。 計画論は科目ごとの最低ライン(足切り)が 設定されることがあり、その基準も年度で変わります。 数値は必ず公式の最新情報を確認してください。

Q. 計算は全部捨てても合格できますか?

A. おすすめしません。計画論に足切りがある場合、 計算を全部落とすと一科目で崩れる恐れがあります。 ただ、満点を取る必要もありません。 まず見分け表で「解ける型」を見つけて、 そこだけ確実に取る。これがいちばん現実的です。

まとめ:計算は才能じゃなく型ゲー

給水装置計画論の計算で、私が伝えたいことはシンプルです。

  • 計画論の計算は6パターンに整理できる
  • ①②③(使用水量・容量)と④⑤⑥(水頭・損失)の 2グループに分かれる
  • 向かう式は「動水勾配=損失÷長さ×1000」と 「H=h’+Σh+M」の2つだけ
  • 同時使用水量は集合住宅(掛けて絞る)と 事務所(足して図で読む)で別物
  • 受水槽容量は「1日使用水量×0.4〜0.6」でいちばん簡単
  • ④⑤⑥(水頭系)の詳細は水理計算編で
  • 全部解く必要はない。 ただし、丸ごと捨てない一線だけは守る
リクルド(旅する書庫番)

6個全部を一気に覚えるんじゃなくて、まず2つに分ければいいんだ。
見分けて当てはめるだけ。そう分かれば、もう捨てなくていい。

計画論の計算は、才能で決まるものではありません。 6パターンを見分けて、2つの式のどちらかに当てはめる。 それだけの作業に整理できます。 丸ごと捨てる前に、まず見分け表から始めてみてください。

焦らなくて大丈夫です。全部できなくても合格はできます。 まずは「集合住宅と事務所の見分け」と、 「受水槽は0.4〜0.6」からで十分です。

今日できる、小さな一歩

まずは6パターンの見分け表を一度眺めて、 同時使用水量の問題を1問だけ解いてみてください。 「これは集合住宅の型」「これは事務所の型」と 言えるようになれば、それだけで十分な前進です。

水頭・損失の計算(④⑤⑥)は水理計算編で

この記事で「6パターンと2つの式」が掴めたら、 水頭系の計算は水理計算編で型を覚えるだけです。 同じ「型ゲー」の考え方で解けるので、今日でなくても、 次に手が空いた日に開けば大丈夫です。

水理計算の解き方を見る

今日は、見分け表を眺めて1問に触れられたら十分です。 給水全体の進め方は、余力がある時の地図として置いておきます。

※本記事は筆者の実体験に基づく内容です。 計算問題の出題形式・配点・解法・足切りの基準・試験範囲は、 年度や制度改定によって変わることがあります。 受験前には必ず公式の最新案内を確認してください。 掲載した数値例は、型を示すための簡略化した例であり、 実際の試験問題とは数値が異なります。 同時使用水量・負荷単位・受水槽容量の係数や図表は、 試験で配布される資料によって決まります。 また本記事は試験対策向けであり、 実務の申請用計算書や設計基準に対応するものではありません。

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