「営業が向いていない」から水道業界を選んだはずなのに、
なぜ私はまた“数字の沼”に戻ったのか?
その答えは残酷なほどシンプルでした。
「職種」は変えたのに、「会社の土俵」は営業会社のままだったからです。
現場に出ても、頭の片隅にあるのは常に営業ノルマ。
壊れた蛇口を直す喜びより先に、「この現場でいくら粗利が出るか」を計算してしまう。
そんなふうに、心がじわじわ削れていった日々の話をします。
営業ノルマが、想像以上に重かった
毎月、粗利の目標が設定される。
朝礼や会議で共有される数字。
リクルド(旅する書庫番)
現場仕事だと思って入ったのに、
気づけば頭の中は、ずっと数字だった。
未達の名前が並ぶと、空気が少し変わる。
誰かが責められるわけじゃないし、大声が出るわけでもない。
長老チャットラー
叱られなくても、
数字が並ぶだけで空気は変わるものじゃ。
でも、「数字が足りていない」という事実だけで、
その場の温度が下がるのが分かりました。
リクルド(旅する書庫番)
「未達」という二文字が、
一日中、頭から離れなかった。
営業ノルマがきついと感じ始めたのは、この頃です。
「どう直すか」より「どう粗利を出すか」。思考が毒されていった
本来、水道職人の仕事は「困っている人を助ける」シンプルな冒険です。
どこが壊れているかを見て、必要な修理をして、元通り使える状態に戻す。
それだけで「ありがとう」が返ってくる。
しかし、ノルマという呪いにかかると、見える景色が歪んでいきます。
パッキン交換で済む修理なのに、
「水栓ごと交換した方が粗利が出る」
そんな計算が、お客様の安心より先に浮かんでしまう。
リクルド(旅する書庫番)
直し方より先に、
粗利の計算をしている自分に気づいた。
それは技術者としての誇りが、少しずつ「数字の奴隷」に書き換えられていくような、恐ろしい感覚でした。
強引な提案をした夜、残ったのは「罪悪感」だった
本当は、今すぐやらなくてもいい工事。
別の選択肢も、確かにあったはずです。
でも「今月の数字」を考えると、少し強めに提案してしまう。
お客様の表情が、一瞬だけ曇る。
その瞬間を見るたびに、胸の奥がチクッと痛みました。
リクルド(旅する書庫番)
数字は埋まった。
でも、技術者としての誇りが少し欠けた気がした。
長老チャットラー
勝った気がせん夜ほど、
人は静かになる。
数字は埋まった。
でも残ったのは達成感ではなく、言葉にしにくい罪悪感でした。
数字は埋まっても、心は回復しなかった
一時的にノルマはクリアできる。
それでも、疲れが抜けない。
家に帰っても、頭の中は数字のまま。
次の月のことを考えると、また同じことを繰り返す気がして、気持ちが重くなる。
リクルド(旅する書庫番)
体じゃない。
先に削れていたのは、気持ちのほうだった。
営業の数字がきついという感覚は、体より先に、心の方に溜まっていきました。
能力の問題じゃない。戦う「構造」そのものが限界だった
「もっと根性を出せば、罪悪感なく売れるようになるのか?」
いいえ、違いました。
私が苦しかったのは、「誠実に直したい自分」と「数字を追いたい会社」の板挟みになっていたからです。
これは努力や気合で解決できる問題ではなく、生きる「構造」そのものを変える必要がありました。
城主アサネコ
壊れたのは、能力じゃない。
戦う場所とルールじゃ。
ここで一つ、読者に残したい判断基準があります。
「業界を選ぶ」だけでは足りない。
人生を削るかどうかを決めるのは、会社の評価制度(営業会社かどうか)の方だった、ということです。
「営業会社の沼」を避けるチェックリスト
📜 王国に伝わる「罠を見破る知恵の書」
もし今、職場選び・転職・異動で迷っているなら、ここだけでも持ち帰ってください。
これは私が削れた後に気づいた「罠の見分け方」です。
- 評価が「粗利・件数・単価」中心で、技術の丁寧さが評価に乗らない
- 会議や朝礼が数字の詰めで、改善が「現場の工夫」ではなく「提案の強さ」になる
- 「お客様のため」が、いつの間にか会社の数字のためにすり替わる
- 成績が落ちると、まず心が休めなくなる(帰宅後も数字が残る)
- 「慣れれば平気」のはずが、慣れるほど誇りが薄くなる
✅ ひとつでも当てはまったら、「根性」ではなく土俵を疑うサインです。
リクルド(旅する書庫番)
自分を守るのは、根性じゃない。
「土俵」を見抜く目だった。
まとめ
営業ノルマがきついと感じた日々は、甘えでも弱さでもありませんでした。
数字を追い続ける中で、仕事の軸が少しずつズレていっただけ。
- ノルマの重さは、気合いの問題ではなかった
- 数字は埋まっても、心は回復しないことがある
- 苦しさの正体は「能力」ではなく「構造(評価制度)」だった
この時点では、まだ答えは出ていません。
ただ一つ確かだったのは、この戦い方のままでは長く持たないという感覚です。
そして、いちばん苦しかったのは夜でした。
静かになるほど、罪悪感と数字がよみがえる。
だから私は「朝」に逃げたんです。
逃げ場を、先に作らないと潰れると思ったから。
次の話では、そこから私がなぜ「朝」という時間に目を向けたのか。
生き残るために始めた、朝活と資格取得の話をします。
🔥 焚火トーク|考え方の火を残す
- 若さの武器が消える40代からの生き残り戦略 若さが使えなくなったあと、何を武器に生き残るか。資格と朝活という「静かな戦い方」。
- 資格コンプレックスを越えて|国家資格が選択肢になった話 国家資格のない世界で感じた劣等感と、別のルートで見つけた現実的な答え。
📜 営業が向いていない人の、生き残り戦略
口が上手い人と同じ土俵で戦わない。資格=武器/朝活=整える
※本記事は筆者の実体験に基づく内容です。制度や要件は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式情報でご確認ください。


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