トイレの流れが前より悪く、ゴボゴボと音もする。このまま流していいのか、自分で何かしたほうがいいのか、迷うところだと思います。
先に答えをお伝えします。
まずは、続けて流すのをいったんやめてください。
流したあとに水位が上がってくるときは、先に「今すぐやめること・やってよいこと」の章を見てください。
音だけでは、原因は決められません。流すときの音や気泡が正常な動作として出る機種もあれば、詰まりや、排水管の空気の通り道(通気)、排水設備の状態が関係していることもあります。
ただ、原因を自分で突き止める必要はありません。見た様子を伝えられれば、相談は進められます。
私は、トイレの詰まりを取り除く現場に入っている施工者です。この記事は、修理の手順をまとめたものではありません。現場で排水管の中に実際に見つかったものを紹介しながら、次の3つを整理します。
- 今すぐやめること
- 自分でやってよい範囲
- 相談するときに伝えること
最後に、相談のときにそのまま使えるチェックリストを置いています。
その音、いつもの音? 注意したい状態の見分け方
この記事では、音そのものより「流れ方」と「水位」の変化を目安にします。
音がするだけなら、異常とは限りません。機種によっては、流すときのゴボゴボ音や気泡が正常な動作として出ると、メーカーが案内しているものがあります。
気にしたいのは、流れが前より悪くなっているときです。この場合は、詰まりのほか、通気や排水設備の状態などが関係している可能性があります。音は、2階のトイレや、大雨のときに出ることもあります。
| 様子 | 考えられること | 次にすること |
|---|---|---|
| いつもの音 流れはいつも通りで、流すときに音や気泡が出る | 機種によっては正常な動作として案内されている | 取扱説明書やメーカーの案内で、お使いの機種を確かめる |
| 注意したい状態 流れが前より悪く、音もする | 詰まりや、通気・排水設備の状態などの可能性 | 続けて流さず、相談する |
| 注意したい状態 水が一度たまって、少しずつ引く | 排水の通り道が一部詰まっている可能性 | 続けて流さず、相談する |
| 注意したい状態 流したあと、水位が上がってくる | あふれるおそれがある | すぐに流すのをやめる(「今すぐやめること・やってよいこと」へ) |
水位がいつもより低いときは、原因が一つではありません。見分けるのは相談先に任せて、相談のときに「水位が低い」と伝えれば十分です。
流れる水の勢いそのものが弱い場合は、排水ではなく、給水側(止水栓など)の問題のこともあります。
では、流れが悪いとき、排水管の中には何が見つかることがあるのか。私の現場の例を紹介します。
流れが悪いとき、現場で排水管の中に見つかったもの
先にお伝えすると、同じ「流れが悪い・ゴボゴボ鳴る」でも、見つかるものは現場ごとに違います。
施工者は、この順番で確かめている
私が現場に入ると、まずお客様に話を聞きます。いつからか、前にもあったか、物を落とした心当たりはあるか、といったことです。
- 聞き取り:いつから、どんなふうに流れが悪いのか
- 物を落とした心当たりがある場合:便器を取り外して、排水管の口を確かめることがある
- 心当たりがなく、外のマスも正常な場合:排水管に圧力をかけて確かめることがある
施工者の私でも、外から見ただけでは原因を決められないことがあります。だから、まず話を聞いて、順番に確かめています。
どれも、道具と経験が要る施工者の作業です。ここでは「こういう順番で見ている」という紹介にとどめます。
読者のみなさんに関係するのは、1番目の聞き取りです。ここで聞くことが分かっていれば、連絡する前に答えを用意しておけます。その中身は、最後のチェックリストにまとめました。
私の現場で見つかったことがあるもの
私の現場では、次のようなものが見つかったことがあります。
- 外のマスに入り込んだ木の根
- 排水管の内側の黒い付着物
- 便器に落とした物
- トイレットペーパーの詰まり
ある現場の例|便器を取り外した排水管
下の写真は、便器を取り外した現場の排水管です。
作業前
清掃後
この現場では、清掃後、流れは戻りました。作業のあと、施工者の確認としてトイレットペーパーを流し、よく流れることを確かめています。
これは、この現場の例です。付着物を取り除けば、どの現場でも流れが戻るとは限りません。
見つかるものが一つではない以上、音や流れ方だけで「これが原因」とは決められません。だからこそ、流し続けずに今の様子を残しておくことが、相談のときの材料になります。
今すぐやめること・やってよいこと
流れが悪いと気づいたら、まず流すのをやめて、今の様子を残しておきます。
やめること
- 続けて流さない:水位が上がってくるときは、あふれを防ぐことを優先します。
- 逆流やあふれがあるときは、ほかの水まわりも流さない:お風呂・洗面所・台所の水も使わずにおきます。
やってよいこと
- 家族に伝える:知らずに流してしまうのを防ぐためです。
- 床を見る:便器のまわりに水が出ていないかを確かめます。
- 写真を撮り、いつからかをメモする:相談のときに、そのまま伝えられます。
- 止水栓は、場所が分かっていて回せるときだけ閉める:場所が分からない、固くて回らないときは、無理に触りません。
- 自動で水が流れる機能がある機種は、取扱説明書に従う:自分で流さなくても水が出ることがあるためです。
- 集合住宅なら、まず管理会社・管理組合へ連絡する
ラバーカップを使うなら、この条件を守る
ラバーカップは、一般の家庭でも使える道具として案内されています。使うかどうか、どこでやめるかは、次の3つで判断してください。
- 物を落とした心当たりがあるなら、使わずに相談する:落とした物を、さらに奥へ送り込んでしまうおそれがあるためです。
- 水位が高いままでは使わない:手順は、お使いの便器の取扱説明書に従います。
- 試しても改善しなければ、やめて相談する
途中でやめて相談しても、それまでに試したことは、相談のときに伝える材料になります。
ほかの道具や方法について
- 真空式パイプクリーナー:市販品もありますが、汚水が飛び散るおそれがあるため、この記事では勧めません。
- 洗浄剤:使えるかどうかは便器によって違い、同じメーカーでも機種で違います。便器の取扱説明書と、洗浄剤に書かれた用途の両方を確かめてください。
- 便器の取り外し:この記事では勧めません。前の章で紹介したとおり、現場では施工者が行う作業です。
戸建ての外のマスと、ほかの水まわり
トイレだけか、家全体か
お風呂・洗面所・台所の流れも悪くないか、見てみてください。家全体で流れが悪いのか、トイレだけなのかは、詰まっている位置を考える材料になります。
とはいえ、どちらの場合も、それだけで原因は決まりません。見たことを、そのまま相談のときに伝えれば十分です。
家全体の流れが悪いときに、排水管の清掃を勧められることもあります。そのときに確かめたいことは、排水管の高圧洗浄はいらない?チラシや訪問で勧められたときの確かめ方にまとめています。
外のマスは、見てよい範囲を決めておく
戸建てでは、敷地の中の排水ます(排水管を点検・掃除するための口)の様子も、相談の材料になります。
ますを見られなくても、相談はできます。見る場合は、次の範囲にとどめてください。
見てよいこと
- ますの位置を知っておく
- 外から、ふたが壊れていないか、まわりにあふれていないかを見る
- 自分の敷地のますで、ふたが軽く、安全に開け閉めできると分かっているときだけ、開けて中を見る(水がたまっているか、木の根が見えるか)
しないこと
- 公共ますは開けない
- 重いふたを無理に開けない
- 中に手を入れない
ますの中にいつも水が残る構造のものもあります。水があるだけで異常とは言えないので、見た様子をそのまま伝えてください。
一度流れても、原因まで直ったとは限らない
流れが戻っても、次の3つは別のことです。
- 流れるようになった
- 詰まっていた物を取り除いた
- 原因まで直した
原因が残っていれば、また流れが悪くなることがあります。たとえば、ますに入り込んだ木の根や、取り切れていない異物が残っている場合です。流れが戻ったあとに、また悪くなってきたときは、前回の様子も含めて相談してください。
トイレットペーパーを必要以上に使うと、詰まりの原因になります。紙のほぐれやすさは、種類によって違います。最近、紙を変えた場合は、相談のときに伝えてください。
相談するときに伝えること
連絡する前に、次の項目を分かる分だけメモしておきます。施工者の側でも、最初に聞くことの答えが先に分かっていると、どこから確かめるかを決めやすくなります。
| 伝えること | メモの例 | メモ |
|---|---|---|
| いつから | 3日前から/今朝から | |
| 前にも同じ症状があったか | 半年前にも一度 | |
| 音の出方 | 流すとき/水が引くとき | |
| 水位と水の引き方 | 高い・低い/一度たまって少しずつ引く | |
| 物を落とした心当たり | ある(何を)/ない | |
| ほかの水まわりの様子 | 台所も流れが悪い/トイレだけ | |
| 大雨のあとか | はい/いいえ | |
| 住まいの種類と階 | 戸建て・集合住宅/何階のトイレか | |
| 外のマスの様子(見た場合) | 水がたまっていた/根が見えた | |
| 使っている紙の種類 | 最近変えた/変えていない | |
| 試したこと | ラバーカップを使った/何もしていない |
全部そろっていなくても、分かる分だけで相談できます。写真があれば、一緒に送ってください。
まとめ
- 流れが前より悪く、音もするなら、続けて流さない
- 音だけでは原因は決められない。流れ方と水位を見る
- 現場で見つかるものは一つではない。だから無理に流さず相談する
- ラバーカップは条件を守って。物を落とした心当たりがあれば使わない
- 一度流れても、原因まで直ったとは限らない
よくある質問
少しずつは流れます。使い続けてもいいですか?
続けて流すのは控えてください。水が一度たまって少しずつ引くときは、排水の通り道が一部詰まっている可能性があります。水位が上がってくる場合は、あふれを防ぐことを優先します。様子をメモして、相談してください。
音がするだけで、流れはいつも通りです。相談したほうがいいですか?
音だけでは、正常か異常かは決められません。機種によっては、流すときの音や気泡が正常な動作として出るものがあります。まずは、お使いの機種の取扱説明書やメーカーの案内を確かめてください。それでも気になるとき、または流れも悪くなってきたときは、相談のときに音の出方を伝えてください。
洗浄剤やパイプクリーナーを使ってもいいですか?
洗浄剤は、便器によって使えるかどうかが違います。便器の取扱説明書と、洗浄剤に書かれた用途の両方を確かめてから判断してください。吸引して使う真空式パイプクリーナーは、汚水が飛び散るおそれがあるため、この記事では勧めません。
参考資料
- TOTO よくあるご質問「GGAを設置した後、便器洗浄時に『ゴボゴボ』という音や気泡が出ますが、これは正常ですか?」
- TOTO「便器のつまりの対処方法」
- LIXIL よくあるお問い合わせ「トイレにペンやスマートフォンなどの物を落としてしまった」
- 横浜市「下水が詰まったが、どうすればいいですか」
- 東京都下水道局「下水道と暮らしのガイド」p.10(トイレ排水)
公式資料は2026年11月に確認したものです。製品の仕様や案内は変わることがあります。お使いの機種の取扱説明書もあわせて確かめてください。

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