蛇口の寿命は10年が目安?修理か交換かは年数だけで決まらない|現場で確かめる3つのこと

住宅設備|キッチン水栓

蛇口の寿命は10年が目安?修理か交換かは年数だけで決まらない|現場で確かめる3つのこと

蛇口の寿命を調べている方へ。メーカーのLIXILは、水栓金具の交換の目安を10年としています。ただ、目の前の蛇口を直すか替えるかは、年数だけでは決まりません。修理と交換、両方の現場にいた経験と、メーカーの案内をもとに、自分の蛇口で修理か交換かを選べるところまで整理します。

まずメーカーと品番部品はまだ手に入るか外れない・回ったら手を止める
キッチン水栓と『蛇口の寿命は10年が目安? 修理か交換かは、年数だけで決まらない』という記事のアイキャッチ画像
修理か交換かは、10年という年数だけでは決まりません。現場で確かめる3つのことを整理します。

先に結論

  • 直すか替えるかは、年数だけでは決まりません。LIXILが示す交換の目安は10年ですが、それだけでは選べません
  • 決め手は次の3つです
    1. 部品がまだ手に入るか
    2. 傷んだのが、交換できる部品か、本体そのものか
    3. 無理なく外せる状態か
  • シャワーホースも、本体の中のカートリッジも、部品の交換で直せる機種があります
  • 外れない、本体ごと回った。そうなったら、そこで手を止めます。本体が回ると配管部が破損し、水漏れするおそれがある、とTOTOは注意しています
  • どちらに決めるにしても、最初の一歩はメーカーと品番の確認です

この記事で扱わないこと

  • あなたの蛇口が修理か交換かの個別の判断
  • カートリッジの交換手順や、固着した部品の外し方
  • 修理・交換の費用の相場

蛇口の調子が悪くなると、まだ直せるのか、もう替え時なのかで迷います。毎日使う場所なので、早く決めたい。でも、まだ使えるものを替えるのは、もったいない気もする。業者に見てもらうにしても、言われるままに決めることにならないか、気になる方もいると思います。年数だけでは決まらないことなので、迷うのは自然なことです。

私は設備屋として、水道修理の会社で修理を、家電量販店で交換工事を担当していました。蛇口を直す側と、替える側の両方にいました。だからこの記事では、どちらか一方に寄せずに、判断の材料を並べます。

この記事で決めたいのは、あなたが自分の蛇口で、修理か交換かを選べるところまでです。主な例は、キッチンのシンクの上に立っている、レバーが1本の蛇口(台付きのシングルレバー混合水栓)です。

キッチンに設置された台付き1穴のシングルレバー混合水栓の全景
この記事で主な例として扱う、キッチンの台付き1穴シングルレバー混合水栓の一例です。

まずメーカーと品番を確かめる

直すにしても、替えるにしても、最初にやることは同じです。自分の蛇口のメーカーと品番を確かめます。どの部品が使えるのか、その部品がまだ手に入るのかは、品番が分からないと調べられないからです。

品番シールを探す

品番は、蛇口に貼られた品番シール(ラベル)で確かめます。TOTO・LIXIL・KVKは、それぞれ公式サイトで品番の確かめ方を案内しています。表示の位置は、メーカーや機種で違います。

ただ、年代や種類によっては、品番ラベルが付いていない蛇口もあります(TOTOの案内)。長く使った蛇口では、シールが剥がれたり、読めなくなっていたりもします。現場でも、品番が読めない蛇口に出会うことがありました。

キッチン水栓の根元に貼られた品番ラベルの例。RJF-771CHと書かれている
品番シールの例。品番が読めると、部品や説明書を探しやすくなります。

読めないときは、プロと同じ調べ先で形から探す

現場では、品番が読めないとき、メーカーの事業者向けの情報サイトで、蛇口の形から品番を探していました。

事業者向けといっても、公開されているページは、ログインせずに見られます。私が使っていたときも、そうでした。

蛇口の品番が分かれば、同じサイトで、部品の資料(分解図など)を探せることがあります。ただ、すべての商品が載っているわけではありません。

また、事業者向けの情報なので、載っている部品を自分で交換できるとは限りません。KVKは、一般の方が交換できない部品もあり、内部の修理は専門の業者に相談するよう案内しています。

プロ向けに作られているので、最初は見慣れない画面かもしれません。上のリンクは、それぞれ取替用の部品や商品を探すページの入口です。

それでも分からなければ、メーカーに問い合わせる

形から探しても分からないときは、メーカーに問い合わせます。私は業者として、メーカーが指定する写真を送って回答を待っていました。

LIXILは、品番が分からないとき、自宅の蛇口の写真を問い合わせフォームに添えて、品番を調べてもらう方法を案内しています。ほかのメーカーは、それぞれの窓口で確かめてください。

回答を待つあいだに水が漏れ続けているなら、シンク下の止水栓を閉めておきます。お湯と水で止水栓が分かれていることもあります。止水栓が見当たらないときは、家全体の水道の元栓で止めます(LIXILの案内)。止水栓が固くて回らないときは、無理に回さず、業者に相談してください。元栓を閉めると、家じゅうの水が止まります。止水はあくまで応急処置です。

刻印が「MYM」のとき

蛇口に「MYM」とあるなら、MYMというメーカーの蛇口です。

MYMの蛇口について調べるときは、KVKの案内を見ます。KVKの商品サポートの検索では、旧MYM製品だけを表示して探せます。

メーカーは、蛇口そのもののロゴで確かめる

メーカーを調べるときは、キッチン本体ではなく、蛇口にあるロゴや品番シールで確かめてください。

キッチン水栓の根元にあるINAXの刻印の例
本体の根元にメーカー名の刻印がある例。ラベルが見つからないときの手がかりになります。INAXは、LIXILのブランドです。INAXの蛇口は、LIXILの品番の案内で探せることがあります(すべての品番が載っているとは限りません)。

賃貸なら、まず管理会社へ

賃貸の部屋なら、修理か交換かを自分で決める前に、管理会社や大家さんに連絡します。蛇口の品番を把握している場合もあります。

品番が分かって部品を買うときは、手元の蛇口の形と照らし合わせてから注文してください。品番が似ていても、別の部品ということがあります。古い蛇口では、シールの品番だけでは仕様を特定できない場合がある、と案内しているメーカーもあります(KVK)。

部品はまだ手に入るか

品番が分かったら、その部品がまだ手に入るかを確かめます。部品が手に入らなければ、直したくても直せません。

メーカーは、補修用の部品を一定の期間持っています。公式の案内では、次のように書かれています。

メーカー案内されている期間
TOTO水栓金具の補修用性能部品は、商品の生産終了後、最低10年間
LIXIL水栓製品の補修用性能部品は、製造打切り後、最低10年

数え始めは、どちらも「その商品を作るのをやめてから」です。買ってから10年、という意味ではありません。また、期間内でも、元の部品とは形や材質が違う代わりの部品で対応することがある、とTOTOは案内しています。

KVKなどほかのメーカーの期間は、品番ごとに取扱説明書や窓口で確かめてください。自分の蛇口の部品があるかどうかも、品番をもとに、メーカーの公式サイトや問い合わせ窓口で確かめられます。

部品の品番が分かれば、Amazonや楽天などの通販サイトで売られていることもあります。買う前に、手元の蛇口の形と照らし合わせてください。

MYMの蛇口の部品は、KVKの直営のオンラインショップで扱われています。ただ、旧MYM製品の一部の部品は取り扱いが終わっている、とKVKは案内しています。品番と部品を照らし合わせて確かめてください。

傷んでいるのは、交換できる部品か

部品が手に入るなら、次に見るのは、傷んでいるのがどの部品かです。

キッチン水栓の主な部品を示した図。シャワーヘッド、レバーハンドル、カートリッジ押さえ、カートリッジ、シャワーホースの位置を示している
図1|シングルレバー混合水栓の主な部品。カートリッジ押さえは、カートリッジの上側にある部品です。押さえの形は、機種によって違います。

シャワーホースやヘッド、レバーなど

シャワーホースやシャワーヘッド、レバーハンドルなど、外から見えて手が届く部品です。たとえばLIXILは、シャワーホース本体からの水漏れに、ホースの交換を案内しています。

ただ、機種によってはヘッドも一緒に替える必要があります。引き出し式のホースでは、周りの部品を外す作業や、その機種に合う交換部品が必要になります。

現場では、こうした部品の不具合なら、年数が経った蛇口でも、部品の交換でよいと判断していました。

本体の中の部品(カートリッジ)

レバーの下、本体の中には、水やお湯を出したり止めたりする部品が入っています。これがカートリッジです。たとえばLIXILは、レバーが1本の蛇口で、吐水口やレバーハンドルの下から水が漏れるとき、カートリッジの故障や劣化が原因のことがあるとして、新しい部品への交換を案内しています。

カートリッジを取り出すには、レバーハンドルや、カートリッジを押さえている部品を外します。押さえ方は、ナットで留めるもの、ねじで留めるものなど、機種によって違います。

私の現場でも、キッチンの蛇口のカートリッジは交換しやすい部品で、何度も交換してきました。部品が本体の中にあるからといって、それだけで蛇口ごとの交換になるわけではありません。

ただ、ときには外す作業の途中で止まることがあります。次の章で書きます。

本体そのものが傷んでいるとき

部品ではなく、蛇口の本体そのものが傷んでいる場合は、部品の交換とは話が違います。品番を控えて、メーカーや業者に相談してください。

外れない・本体が回ったら、そこで手を止める

カートリッジを自分で替えようとして、押さえている部品が固くて外れない。力をかけたら、蛇口の本体ごと回ってしまった。そこで手が止まっている方もいると思います。

外れない、本体が回った。そこは、手を止めていい場所です。この章では、その理由を、メーカーの注意と、私が現場で経験したことに分けて書きます。

ふだんは交換しやすい部品でも、固くて外れないことがあります。私の経験では、大きなモンキーレンチを使っても外れないことがありました。外れなかったのは、やり方が悪かったからとは限りません。

力をかけると、蛇口の本体ごと回ってしまうことがある

押さえている部品を回そうとすると、その部品だけでなく、蛇口の本体ごと回ってしまうことがあります。これを「供回り(ともまわり)」といいます。私の現場でも、本体ごと回ってしまうことがありました。

メーカーの説明書でも、作業のときは本体が回らないように押さえるよう注意しています。本体の押さえ方や、使う専用工具は、機種ごとに決められています。

本体が回ると、シンクの下の配管部が破損して、水漏れするおそれがある、とTOTOは注意しています。

回ったと気づいた時点で手を止めれば、それ以上、本体に力をかけ続けずにすみます。回ってしまった後のことは、このあと書きます。

私が持っていた工具では、本体を押さえる道具はパイプレンチしかありませんでした。固くなった蛇口では、本体に傷を付けずには済まないこともありました。外れない部品に力をかけ続けると、部品が外れる前に、本体のほうに傷が付くことがある。現場では、そう感じていました。

回ってしまった後の手間は、取り付け方と緩んだ場所で変わる

本体が回ってしまったら、まずシンクの下をのぞいて、蛇口につながる配管のあたりが濡れていないか見ておきます。濡れていたり、水が漏れてきたりしたら、止水栓を閉めて(止水栓が見当たらないときは元栓で)、品番を控えて相談します。止水栓が固くて回らないときは、無理に回さず相談してください。

シンク下の止水栓と給水・給湯配管の例
シンク下の止水栓と配管の例。濡れや漏れがないかは、このあたりを見て確かめます。

本体が回って固定が緩んだとき、どこを締め直すかは、蛇口の取り付け方と、緩んだ場所で違います。LIXILは、本体を固定しているねじで締め直せるタイプについて対処を案内し、それ以外のタイプなどは修理の依頼を案内しています。

自分の蛇口がどの取り付け方かは、品番に合った施工説明書で確かめられます。シンク下の金具や、蛇口の根元のねじ・カバーも手がかりになります。

本体を外すとき、固着していることもある

交換するときは、古い蛇口の本体を外します。

LIXILは、長く使ったワンホール上面施工タイプの蛇口について、本体が固着して外れにくくなる場合を案内しています。

私の経験でも、本体と、それを留めている部品が固着した蛇口は、外すのに時間がかかりました。交換すると決めて作業を始めてから、古い蛇口が外れずに、大きく手間取ったこともあります。交換を選んでも、今の蛇口が外しやすい状態かどうかで、作業の手間は変わります。前もって知っておけば、作業に時間がかかっても、慌てずにすみます。

手を止めるのは、あきらめではありません。力をかけ続けるほど、本体や配管を傷めるおそれがあります。それを避けるための判断です。

固くなった部品を緩める方法は、ネットなどでも紹介されています。この記事では、その方法は扱いません。私自身は現場で、年数が経った蛇口のカートリッジ交換は勧めていませんでした。年数の見方は、次の章で書きます。

これは、私が回っていた現場での判断です。機種や構造、部品が手に入るかどうかで、例外はあります。迷ったときは、品番を控えて、メーカーや業者に相談してください。

修理か交換か|考え方の目安

ここまでの話を、目安として整理します。表には年数を入れていません。年数の見方は、表の下に、私の現場での区切りとして分けて書きます。

いまの状態考え方
部品が手に入らない(代わりの部品もない)交換を考える
ホースやヘッド、レバーが傷んでいて、部品が手に入る部品の交換を考える。機種によっては周りの部品も必要
カートリッジの不具合で、部品が手に入る部品の交換が選択肢。外れない・本体が回ったら手を止める
外そうとしたら外れない、本体ごと回った手を止める。交換も含めて、品番を控えて相談する
蛇口の本体そのものが傷んでいる品番を控えて、メーカーや業者に相談する

私の現場での、年数の見方です。交換を考える区切りは、10年に置いていました。使って7〜8年くらいの蛇口なら、カートリッジの交換も視野に入れていました。

これはメーカーの基準ではなく、私が現場で判断するときに使っていた物差しです。

これは目安です。あなたの蛇口が修理か交換かを決めるものではありません。年数は、部品が手に入るかや、外せる状態かとあわせて見る材料のひとつです。迷ったら、品番を控えて、メーカーや業者に相談してください。

直すことも、替えることも、どちらも選んでいい道です。大事なのは、年数だけでも、言われたままでもなく、自分の蛇口の状態を見て決めることです。

品番と、部品が手に入るか、傷んだのはどこか、無理なく外せるか。分かる範囲でここまで手元に置いておけば、業者に相談したときも、説明を自分の蛇口に照らして聞けます。

ここで修理か交換かを選べたら、この記事の用事は終わりです。

決めたあとの一歩

交換すると決めたら

交換の前に、品番から、今の蛇口の取り付け方を確かめておきます。取り付け方や、今の蛇口が外しやすい状態かで、交換の手間が変わるためです。交換の進め方と、自分でやる範囲・頼む範囲は、別の記事で扱う予定です。

部品を替えると決めたら

品番と、手元の部品の形を照らし合わせてから部品を用意します。部品によっては、一般の方が交換できないものもあります(KVKの案内)。自分で替えるか、業者に頼むかも、品番と部品を確かめてから決めてください。自分で替えるなら、作業の前には、止水栓を閉めます。作業の手順は、品番に合ったメーカーの説明書で確かめてください。外れない、本体が回ったときは、無理をせず、手を止めてください。

トイレでも、考え方は同じです

まとめ

  • LIXILは、水栓金具の交換の目安を10年としている。ただし、直すか替えるかは年数だけでは決まらない
  • まずメーカーと品番を確かめ、部品がまだ手に入るかを調べる
  • ホースやヘッド、本体の中のカートリッジも、部品の交換で直せる機種がある
  • 外れない、本体が回ったときは、そこで手を止める

この記事で決めたいのは、自分の蛇口で修理か交換かを選べるところまでです。

よくある質問

Q1. キッチンの蛇口は、何年で交換したほうがいい?

LIXILは、水栓金具の交換の目安を10年としています。ただ、10年で必ず壊れる、10年までは直さなくてよい、という意味ではありません。部品が手に入るか、傷んだのがどの部品かとあわせて考えるほうが、自分の蛇口に合った判断になります(「修理か交換か|考え方の目安」の章)。

Q2. 古い蛇口の交換費用はいくら?

蛇口本体の代金と工事の費用に加えて、今付いている蛇口の取り付け方や、外しやすい状態かによって変わります。固着して外すのに時間がかかると、そのぶん手間がかかります。交換の進め方は、別の記事で扱う予定です。

Q3. 浄水器付きの蛇口の寿命は?

浄水カートリッジの交換時期と、蛇口本体の寿命は別物です。浄水カートリッジの交換の目安は、カートリッジの型式や、ろ過できる水の量、使う量で変わります。手元のカートリッジに合った、メーカーの案内で確かめてください(たとえば、LIXILは型式ごとの案内を出しています)。蛇口本体のほうは、この記事の考え方で判断します。

Q4. MYMの蛇口は、もう修理できない?

部品が手に入れば、修理できる場合があります。旧MYM製品の部品は、KVKの直営のオンラインショップで扱われています。ただ、一部の部品は取り扱いが終わっています。私が修理で回っていたころは、MYMの蛇口は年数が経ったものが多く、交換を提案していました。まずは品番で、必要な部品があるかを確かめてください。

Q5. ハンドルが2つある古い蛇口は?

ハンドルが2つある蛇口は、この記事の主な例(レバーが1本の蛇口)とは中の仕組みが違います。LIXILは洗面台の水栓の案内で、コマ式の蛇口の水漏れに、中のコマの交換を案内しています。ただ、すべてが同じ仕組みとは限りません。まず品番で、自分の蛇口の構造を確かめてください。

現場で何を見てきた人間が書いているのかは、Aboutにまとめています。

参考

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