洗面台を替えたい。でも、本体を入れ替えるだけで済むのか、ほかに何か工事が要るのかが分からない。見積もりを頼む前に、そこが少し気になっている方へ向けて書いています。

私は2018年から水道・住宅設備の現場で働いています。いまは家電量販店のリフォーム工事の協力業者として、洗面台などの交換を担当しています。第二種電気工事士、給水装置工事主任技術者などの資格を持っています。
先に答えをお伝えします。
洗面台の交換では、同じ幅への入れ替えでも、追加工事になりやすい所が4つあります。ただし、4つが全部起きるわけではありません。同じ幅の入れ替えで、今の条件と新しい製品が合えば、大きな追加工事なしで済むこともあります。
読み終えるころには、見積もりの前に自分の家で見ておくことと、見積もりで聞くことが手元にそろいます。
先に答え:同じ幅でも、追加工事になりやすい所は4つ
私が担当する現場で、追加の相談になりやすいのは次の4つです。

| 所 | 起きることがあること |
|---|---|
| ① 給水・排水の位置 | 今の給水・排水の位置が、新しい台と合わないことがある |
| ② 鏡の電源 | 照明のない鏡から替えると、使える電源がないことがある |
| ③ 鏡を付ける壁 | 指定に合う下地がないことがある。窓の前には付けられない鏡もある |
| ④ 床と壁の跡 | 外したあと、前の台の跡や、床材・壁紙のない所が出ることがある |
全部が起きるわけではありません。条件が合えば、大きな追加なしで済むこともあります。自分の家にどれが関係しそうかは、このあと1つずつ見ていきます。
幅を縮めたい場合は、これに配管と内装の工事が加わります(幅を縮めるとき)。
記事の最後に、見積もりの前に使えるチェックリストを置いています(見積もりの前のチェックリスト)。
給水・排水の位置が新しい台と合わないとき
新しい洗面台には、給水・給湯管や排水管を通す位置の決まりがあります。今の位置がその決まりに合えば、そのままつなげます。

合わないときは、部材でつなぐ方法があります。メーカーには、位置のずれに対応する取替用の部材を用意しているものがあります。たとえばLIXILの現地調査シートには、排水の位置がずれている場合の部材(排水リフォームキット)と、給水の位置がずれている場合の部材(給水リフォームキット)の欄があります。
部材で収まらないときは、床から立ち上がっている排水の位置を変える工事になることがあります。私が担当する現場では、部材でつなぐか、位置を変えるかは、ずれの大きさや、引き出しの台かどうかで変わります。
引き出しの台には、もう一つ見る所があります。引き出しが、排水管や、止水栓(洗面台への水とお湯を止める栓)・給水・給湯管に当たらないかです。私が担当する現場では、両開きの扉の台から片側が引き出しの台に替えるときに、止水栓や給水・給湯管の位置を移す工事が要ることがあります。私の経験では、開き戸の台より引き出しの台のほうが、ここの収まりが厳しくなるときがあります。
施工前

施工後

私が担当する現場では、引き出しの台に替えるときに台を壁に寄せて付けると、開けた引き出しが浴室のドアの枠に当たることもあります。両開きの扉の台では、気にしなくてよかった所です。
交換前に分かること今の台が開き戸か引き出しか。新しく選びたい台の形(品番)。台の横に浴室のドアがあるか。
外してから決まること給水・給湯管と排水の正確な位置と、部材で収まるかどうか。
だから見積もりでは、「給水・排水の位置が合わないときは、どう対応しますか」と聞いておきます。
鏡の電源:照明のない鏡から替えるとき
照明やコンセントの付いた鏡には、電源のつなぎ方の決まりがあります。たとえばLIXILの資料では、次のことが示されています。
- コードが届く範囲にコンセントを設けること
- 専用の回路から電源を取ること
- 点検できない本体の裏には、コンセントを設けないこと
- 電源を直結する場合は、直結用の品番を手配すること
決まりの中身は、製品によって違います。ここに挙げたのは、LIXILのこの資料に書かれている例です。
今の鏡に照明がない家では、新しい鏡のために使える電源がないことがあります。近くにコンセントがあっても、その位置や回路を、新しい鏡にそのまま使えるとは限りません。
経済産業省の資料では、コンセントなどの配線器具を取り付けたり、電線をつないだりする作業は、電気工事士でなければできない作業とされています。TOTOの化粧鏡の説明書でも、電気配線の工事は電気工事士が行うよう書かれています。私は電気工事士の資格を持っていて、電源が必要な現場では自分で電気工事をしています。
電源の工事の中身を、ご自身で見極める必要はありません。確かめておきたいのは、その工事が見積もりに含まれているかどうかです。
自動水栓(手をかざすと水が出る水栓)を選ぶときは、水栓の電源の方式と、どこから電気を取るかも確かめます。TOTOのオクターブでは、鏡の差し込みプラグから自動水栓などへ電気を取れて、追加工事が要らない組み合わせがあります。一方で同じ資料では、フットスイッチや電気即湯器には別にコンセントが要るとされています。
つまり、自動水栓にしたから電源工事が要る、とは決まっていません。機種と組み合わせで変わります。
交換前に分かること今の鏡に照明があるか。新しい鏡に照明・コンセントがあるか。自動水栓にしたいか。近くの電源を使えそうか(現地確認で分かります)。
外してから決まること壁の中の配線の状態。
だから見積もりでは、「鏡(と自動水栓)の電源工事は含まれていますか」と聞いておきます。
鏡を付ける壁:下地と、窓
鏡(ミラーキャビネット)は、壁にねじで固定します。どう固定するか、固定する所にどんな下地が要るかは、製品ごとに説明書で決められています。下地とは、ねじをしっかり効かせるための木の桟や板のことです。
TOTOの化粧鏡の説明書では、固定する部分に木の桟を入れるか、壁全体に合板を取り付けることが指定されています。必要な下地は製品ごとに違うので、新しい鏡の説明書や仕様で確かめる所です。

指定に合う下地がないときや、壁に段差があるときは、下地の補強や、壁の面をそろえる工事になることがあります。
以前、土壁の現場で鏡を固定するための下地を補強したことがあります。土壁だから補強が要る、と決まるわけではありません。新しい鏡の指定に合う下地が、固定する位置にあるかどうかで変わります。
もう一つは窓です。化粧鏡の種類によっては、窓の前に設置できないものがあります。鏡を付けたい所に窓がある場合は、補強の方法を考える前に、希望する製品がそこに取り付けられるかを確かめます。
鏡の上に、今の洗面台に合わせて作った棚が付いていることもあります。私が担当する現場では、元の鏡より背の高い鏡に替えると、この棚に当たることがあります。棚を外したり上げたりできれば外しますが、できないときは、棚の下に収まる高さの鏡を選ぶことになります。
交換前に分かること鏡の後ろの壁が土壁か。鏡を付けたい所に窓があるか。鏡の上に棚があるか。今の鏡と新しい鏡の大きさ・高さの違い。
外してから決まること新しい鏡の指定に合う下地が、固定する位置にあるか。
だから見積もりでは、「下地の補強が要る場合は、どうなりますか」と聞いておきます。
床と壁の跡:外してから見えること
古い洗面台を外すと、床や壁に前の台の跡や汚れが出ることがあります。台があった所だけ、壁紙や床材が貼られていないこともあります。
私が担当する現場では、同じ幅の入れ替えでも、台の下に床のクッションフロアが貼られていないことがあります。
跡が出るかどうかは、新築のときに、内装と洗面台のどちらを先に施工したかによります。洗面台を先に置いてから床や壁を仕上げた家では、台の下に床材や壁紙がないことがあります。また、貼ってあっても、長い年月で日焼けして、台の下だけ色が違って見えることがあります。
跡が気になるなら、床(クッションフロア)や壁紙の張り替えを一緒に頼むか、見積もりで相談できます。張り替えるかどうかは、見た目と費用を比べて決めてかまいません。
交換前に分かること新しい台の幅・奥行きが、今の台より小さいか(小さいほど、前の台があった所が見えやすくなります)。
外してから決まること跡や、床材・壁紙のない所が出るか。
だから見積もりでは、「跡が出たときは、どう対応しますか。張り替えは別料金ですか」と聞いておきます。
幅を縮めるとき:配管と内装の工事が加わる
私が担当する交換は、同じ幅への入れ替えがほとんどです。ときどき、幅900mmの台を750mmにしたい、といった幅を縮める相談があります。
きっかけは、横の洗濯機パンや壁で幅がきつい、などです。
私が担当する現場では、幅を変えるときは、給水・給湯・排水の位置を新しい台に合わせて移す工事が要ります。床や壁の内装も絡みます。台が小さくなる分、前の台の跡も、床と壁の両方に出ることがあります。
幅を変えるかどうかは、使い勝手と工事の範囲を比べて決めてかまいません。変える場合は、見積もりで配管と内装の工事も含めて聞いておくと、あとから話がずれにくくなります。
見積もりの前のチェックリスト
ここまでの4つと幅の話を、見積もりの前に使える形にまとめました。印刷するか保存して、見える所から埋めてみてください。
A. 自分で見ておくこと
外したり触ったりせず、見える範囲だけで十分です。分からない所は「分からない」と書いておけば、そのまま見積もりの相談に使えます。
| 見ておくこと | メモ |
|---|---|
| □ 今の洗面台の品番(分かれば)と幅 | |
| □ 今の台は開き戸か引き出しか/新しく選びたい台の形 | |
| □ 今の鏡に照明があるか/新しい鏡に照明・コンセントがあるか | |
| □ 自動水栓にしたいか | |
| □ 鏡の後ろの壁が土壁か/鏡を付けたい所に窓があるか | |
| □ 鏡の上に棚があるか | |
| □ 台の横に浴室のドアがあるか | |
| □ 横に洗濯機パンや壁があり、幅がきつくないか | |
| □ 幅を変えたいか | |
| □ 跡が出たら、床・壁紙も替えたいか |
B. 見積もりで聞くこと
| 聞くこと | 答え |
|---|---|
| □ 給水・排水の位置が合わないときは、どう対応しますか(部材か、管を移す工事か) | |
| □ 鏡(と自動水栓)の電源工事は含まれていますか | |
| □ 下地の補強や壁の補修が要る場合は、どうなりますか | |
| □ 鏡の上の棚は外せますか。外せないなら、棚の下に収まる鏡はどれですか | |
| □ 引き出しを開けたときに、ドアの枠に当たりませんか | |
| □ 床・壁紙の張り替えは別ですか。跡が出たときはどうなりますか | |
| □ 外してから追加が分かった場合、どう知らせてもらえますか | |
| □ 止水栓の交換は含まれていますか |
止水栓について補足します。私が担当する交換では、水とお湯の止水栓2本も一緒に替えて、見積もりに含めています。扱いは依頼先によって違うことがあるので、含まれているかを聞いておくと、見積もりを比べやすくなります。
また、止水栓の交換は、地域の水道事業者の決まりで、届出が要らない工事でも指定給水装置工事事業者(水道事業者が指定した工事業者)が行うことになっている例があります。たとえば京都市の基準では、止水栓の取替えは届出・承認の要らない区分でも、指定業者でなければ施工できないとされています。
お住まいの地域での扱いは、見積もりのときに一緒に聞くか、地域の水道事業者の案内で確かめられます。
よくある質問
洗面台だけ交換できますか?
床や壁はそのままで、洗面台だけを交換することもできます。ただ、外したあとに跡が出ることがあります(床と壁の跡)。
跡は毎回残りますか?
毎回ではありません。新築のときに内装と洗面台のどちらを先に施工したかと、日焼けの具合で変わります。
鏡だけ替えるときも、同じ確認が要りますか?
電源と下地は、同じように確認が要ります。鏡の上に棚があるなら、高さも確かめます。新しい鏡が今の壁と電源に合うかは、品番で確かめます。
自動水栓にすると、電源工事が要りますか?
機種と組み合わせによります。TOTOのオクターブのように、鏡から電気を取れて追加工事が要らない組み合わせもあります。
まとめ:外すまで分からないことは、見積もりで先に聞いておく
洗面台の交換で、同じ幅でも追加工事になりやすいのは、給水・排水の位置、鏡の電源、鏡を付ける壁、床と壁の跡の4つです。幅を縮めるときは、配管と内装の工事が加わります。
4つが全部起きるわけではありません。同じ幅の入れ替えで、今の条件と新しい製品が合えば、大きな追加工事なしで済むこともあります。
それでも、古い洗面台を外すまで決まらないことはあります。だから見積もりでは、その工事が含まれているか、外してから追加が分かったときにどう知らせてもらえるかを聞いておく。そうすれば、当日に初めて聞く話を減らせます。
まずはチェックリストを保存して、見える所から埋めてみてください。全部埋まらなくてもかまいません。空いている所も、そのまま見積もりの相談に使えます。

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