キッチンの蛇口を交換するとき、先に確認すること|本体か部品か・地域の水道のルール・相談前の準備
キッチンの蛇口の交換を考えている方へ。替えたいのが蛇口の「本体」か、中の「部品」かで、話が変わります。本体を替えるなら、先に、お住まいの地域の水道事業者のルールを確かめます。修理と交換、両方の現場にいた経験と、法令やメーカーの案内をもとに、交換の話を進めるために確かめることを整理します。

先に結論
- 替えたいのが蛇口の本体か、部品かで、話が変わります。こまやパッキンなど部品の取替え(配管を伴わないもの)は、国の決まりで「軽微な変更」として別に扱われています
- お湯と水を混ぜて出せる蛇口(混合水栓)の本体の交換は、配管に手を加えなくても、この「軽微な変更」には当たりません
- 本体を替えるなら、お住まいの地域の水道事業者のルールを確かめます。福岡市では、軽微な変更に当たらない給水装置工事は、市の指定を受けた工事業者が施工することになっています
- 相談の前に、メーカーと品番、シンク下などの写真、欲しい機能をそろえておくと、話を進めやすくなります
- 部品の交換で済みそうなら、修理か交換かを考える記事へ戻れます
この記事で扱わないこと
- 蛇口の交換の手順
- 交換の費用の相場
- 福岡市以外の地域の、具体的なルールの中身
- あなたの家で、誰が交換してよいかの個別の判断
古くなったキッチンの蛇口を替えたい。できるなら、自分で早く済ませたい。自分で交換できるのか、業者に頼むほうがいいのか。調べると、「自分で交換できる」という説明もよく見かけます。
この記事の答えは、こうです。替えたいのが蛇口の本体か、中の部品かで、話が変わります。本体を替えるなら、まず、お住まいの地域の水道事業者のルールを確かめます。
本体と部品を分けるのは、国の決まりで、この二つの扱いが分かれているからです。「自分で交換できるか」という問いも、どちらの話なのかで答えが変わります。
私は設備屋として、水道修理の会社では修理と交換の両方を、家電量販店では交換工事を担当していました。蛇口を直す側と、替える側の両方にいました。だからこの記事でも、どちらか一方に寄せずに、確かめることを順に並べます(About)。
この記事で決めたいのは、次の三つが分かるところまでです。部品で済みそうなら、どこへ戻ればいいか。本体を替えるなら、どこのルールを確かめればいいか。相談するとき、何を伝えればいいか。
まず、替えたいのは本体か、部品か
最初に分けておきたいのは、替えたいのが蛇口の本体なのか、部品なのかです。国の決まりでは、この二つの扱いが違います。
水道法では、給水装置を設置したり変更したりする工事を「給水装置工事」と呼んでいます。ただし、ごく小さな変更は「軽微な変更」として、別の扱いが決められています。
軽微な変更の中身は、水道法施行規則で決められています。書かれているのは、次の二つです。
- 単独水栓の取替えと補修
- こま、パッキンなど、給水用具の部品の取替え
条文の最後には「配管を伴わないものに限る」と書かれています。
ここでいう「単独水栓」は、お湯と水を混ぜて出す機能がない、手で操作する水栓のことです(厚生労働省の通知)。
手で操作する、水だけが出る蛇口(単水栓)を単水栓に取り替えるのは、同じ通知で、軽微な変更の「単独水栓の取替え」とされています。これも、配管を伴わないものに限られます。一方、単水栓から混合水栓へ替えるのは、「単独水栓から単独水栓への取替え」ではありません。配管に手を加えるかどうかや、地域での扱いは、水道事業者の案内で確かめてください。
キッチンでよく見る、レバー1本でお湯と水の量を調節する蛇口は、お湯と水を混ぜて出す「混合水栓」です。混合水栓の本体を替えるのは、配管に手を加えなくても、「単独水栓の取替え」には当たりません。
つまり、混合水栓の本体の交換は、「軽微な変更」の外側にある話です。だから本体を替えるなら、次の章の、地域のルールを確かめるところから始めます。
本体を替えるなら、地域の水道事業者のルールを確かめる
本体を替えるなら、次にやることは、お住まいの地域の水道事業者のルールを確かめることです。誰が施工するかは、国の法律の仕組みの上で、地域ごとに決められているからです。
国の仕組み
水道法では、水道事業者が、自分か、自分が指定した工事業者が施工した給水装置であることを、水を供給する条件にできる、としています(水道法第16条の2第2項)。この条件は、水道事業者ごとの「供給規程」で定めます。
指定を受けた工事業者を、正式には「指定給水装置工事事業者」といいます。この記事では「指定事業者」と書きます。
同じ条文には、前の章の「軽微な変更」などを例外とする定めもあります。
この条文が定めているのは、水道事業者がこうした条件を決められる、という仕組みです。実際の条件は、それぞれの水道事業者の決まりで確かめます。
福岡市の場合(例として)
例として、福岡市の場合を見てみます。
福岡市では、福岡市水道給水条例で、給水装置工事は指定事業者に施工させる、と定めています(第25条)。この条例でも、修繕のうち「軽微な変更」に当たるものは、給水装置工事から除かれています(第2条第3号)。
つまり福岡市では、軽微な変更に当たらない給水装置工事は、指定事業者が施工します。混合水栓の本体の交換は、前の章で見たとおり、軽微な変更に当たりません。
福岡市水道局も、指定事業者の案内と一覧で、市内で給水装置工事を行うときは、指定事業者に施工させるよう案内しています。
ここまでは、福岡市で確かめられたことです。ほかの地域も同じだとは限りません。
ほかの地域は、各水道事業者の案内で確かめる
福岡市以外にお住まいなら、その地域の水道事業者の案内を確かめます。水道事業者とは、水道局や企業団など、その地域に水道を供給している事業者のことです。「水道局」という名前の組織がない地域もあります。
どこが水道事業者か分からないときは、手元の水道料金のお知らせに書かれた名前が手がかりになることがあります。
見るのは、指定事業者の一覧です。本体の交換を頼む先を考えるときも、その事業者が地域の指定事業者かどうかが、確かめる点になります。
「資格」の話と「指定事業者」の話は別
「蛇口の交換に資格はいらない」という説明を見かけることがあります。ここで分けておきたいのは、作業する人の資格の話と、施工する事業者の条件の話は、別のことだという点です。どちらも「蛇口の交換」の話として出てくるので、混ざりやすいところです。
この章で見てきたのは、事業者のほうの話です。地域の水道事業者から指定を受けているかどうか、という条件です。
指定事業者は、事業所ごとに、免状を持つ給水装置工事主任技術者を選任することになっています。主任技術者は、工事の技術上の管理や、工事に従事する人への指導監督を担います(水道法第25条の4)。
私自身、給水装置工事主任技術者の免許を取る前から、水道修理の会社で、指定事業者の従業員として蛇口の交換をしていました。
この経験は、法律の解釈を示すものではありません。ただ、「人の資格」と「事業者の指定」を分けて考えると、自分の地域で何を確かめればいいかが見えやすくなります。
相談する前に、手元で確かめておくこと
本体を替えるつもりで相談するときは、手元に次の情報がそろっていると、話を進めやすくなります。分かる範囲で構いません。
メーカーと品番
品番が分かると、今の蛇口の取り付け方や、合う部品・説明書を調べやすくなります。品番の探し方は、こちらにまとめています。
→ 蛇口の寿命は10年が目安?修理か交換かは年数だけで決まらない(「まずメーカーと品番を確かめる」の章)
写真
蛇口そのものの写真に加えて、取り付けのまわりの写真があると、相談先が状況をつかみやすくなります。どこを撮るかは、蛇口の取り付け方で変わります。
- ワンホール・ツーホール(シンクや天板の穴に取り付ける蛇口。穴が1つか2つか):シンク下の止水栓と、蛇口とつながっている部分
- 壁付き(壁から出ている蛇口):蛇口の根元。壁付きは、シンク下ではなく根元を撮ります

私が交換してきた中では、ワンホールの蛇口は編み込みホースで、ツーホールの蛇口はフレキ管(金属製の蛇腹の管)で、止水栓につながっていました。
これは私の経験の範囲です。ホースの種類で取り付け方を見分けられる、という決まりではありません。

取り付け方と、取り付け穴の大きさ
今の蛇口の取り付け方と、取り付け穴の大きさは、品番から施工説明書で確かめられます。新しい蛇口の候補を絞るときの材料になります。
見た目は、候補を絞る手がかりにはなります。ただ、実際の穴の大きさは、最終的に現物で確かめることになります。
欲しい機能
シャワー、浄水、タッチレスなど、新しい蛇口に欲しい機能を考えておきます。
私が交換を頼まれたときは、カタログを見せながら機能をひととおり説明して、希望を聞いていました。欲しい機能がある程度決まっていれば、そこから話を始められます。迷っている機能があれば、迷っていることをそのまま伝えて構いません。
お湯をつくっている機器の種類
お湯をつくっている機器が、ガス給湯器か、電気温水器・エコキュートかも、確かめておきます。私が交換してきた中では、機器の種類によって、お湯の側の止め方が変わりました。そのため、相談先が最初に知りたい情報のひとつです。
止水栓の場所
シンク下などにある止水栓の場所も、見ておきます。場所が分かっていれば、いざというときに探さずにすみます。操作の手順は、この記事では扱いません。
止水栓が固くて回らないときは、無理に回さないでください。固くて回らないことも、相談のときにそのまま伝えてください。
交換の現場で、追加の確認になりやすかったこと
交換の現場では、蛇口のまわりの状態によって、追加の確認が必要になることがありました。ここに書くのは、私が交換してきた中で、そうなりやすかった条件です。
前もって知っておけば、見積もりの説明を聞くときに、自分の家の条件に照らして聞けます。
止水栓も一緒に替えるかどうか
止水栓は、たいてい蛇口と同じだけの年数を使ってきたものです。そのため私は、蛇口を替えるときに、止水栓も一緒に替えるかを検討していました。水漏れしたときも、同じように検討していました。
目安にしていたのは、緑青(銅や真ちゅうにできる、青緑色のさび)が出ている、ハンドルが回らない、水漏れしている、の三つです。
私の経験では、井戸水を使っている家の止水栓は折れやすく、交換を提案していました。
井戸水を使っているなら、そのことも相談のときに伝えておけば、止水栓も替えるかどうかを、自分の家の条件で考えやすくなります。
前の章で、止水栓まで写真に入れておくとよいのは、このためでもあります。
お湯の側の管と、お湯の止め方
給湯側の管が銅管の家では、受け側をしっかり固定せずに回すと、銅管ごと折れるおそれがありました。
止水栓を外さない作業で、止水栓が正常に回るときは、止水栓でお湯を止められました。
ただ、電気温水器やエコキュートのある家で、止水栓そのものを外すときや、壁付きの蛇口で偏心管(壁から出ている管と蛇口をつなぐ部品)を外すときは、水の元栓を閉めても、お湯が止まりきらないことがありました。そうしたときは、温水器の側で処置をしてから、作業に入っていました。パナソニックも、同社のエコキュートとつながっている水栓について、「給水元栓」を閉じていてもお湯が出てくることがあると案内しています。前の章で、お湯をつくっている機器の種類を確かめておくのは、このためです。
ツーホールでは、フレキ管も一緒に替えていた
ツーホールの蛇口を交換するときは、止水栓とつなぐフレキ管も、一緒に交換していました。
天板の裏の当て木が傷んでいる
天板の裏に当て木(補強のために当てた木の板)がある台所では、その当て木が腐っていることがありました。そうした台所では、固定が緩んで、蛇口がぐらついていることもありました。
古い蛇口が外れない
交換すると決めて作業を始めてから、古い蛇口が外れずに、大きく手間取ったことがあります。自分で交換しようとして外れず、途中から頼まれたこともありました。
LIXILも、長く使ったワンホール上面施工タイプの蛇口について、本体が固着して外れにくい場合があると案内しています。
すでに自分で試して外れなかった場合も、そこで手を止めて相談に切り替えるのは、ひとつの進め方です。
電源が必要な水栓
電源が必要な水栓では、別途、電気工事が関係する場合があります。
ここに書いたのは、私の現場でそうなりやすかった、という話です。あなたの家で必ず起きる、という意味ではありません。緑青や当て木の傷みがあれば必ず交換になる、ということでもありません。
次の一歩
ここまでの話で、次に進む道は二つに分かれます。
本体か部品か。本体なら、地域のルール。相談するなら、品番と写真と欲しい機能。ここまで手元にあれば、交換の話を自分の家の条件に照らして進められます。
ここで次の一歩が決まれば、この記事の用事は終わりです。
よくある質問
- Q1. 「蛇口の交換に資格はいらない」と見かけたけれど?
作業する人の資格の話と、施工する事業者の条件の話は、別のことです。本体を替えるなら、資格のあるなしだけで考えずに、お住まいの地域の水道事業者のルールを確かめてください(「本体を替えるなら、地域の水道事業者のルールを確かめる」の章)。
- Q2. ホームセンターや家電量販店に頼むときは?
実際に施工する事業者が、その地域の指定事業者かどうかを確かめます。福岡市では、軽微な変更に当たらない給水装置工事は、条例のとおり指定事業者が施工します。ほかの地域は、それぞれの水道事業者の決まりで確かめてください。
- Q3. 賃貸の部屋のときは?
私なら、交換を決める前に、まず管理会社や大家さんに相談します。替えるかどうか、誰が頼むかを先に決めておくほうが、話を進めやすいと考えているからです。
- Q4. タッチレス水栓にしたいときは?
電源が必要な水栓では、別途、電気工事が関係する場合があります。タッチレスにしたいことは、相談のときに、欲しい機能としてそのまま伝えて構いません(「相談する前に、手元で確かめておくこと」の章)。
- Q5. 交換の費用は、どれくらい?
費用は、蛇口本体の代金、取り付けの工事費、古い蛇口の撤去の費用で構成されます。今の蛇口のまわりの状態によっては、追加の確認や作業が必要になることがあります(「交換の現場で、追加の確認になりやすかったこと」の章)。この記事では、相場の金額は扱いません。
現場で何を見てきた人間が書いているのかは、Aboutにまとめています。
参考

コメント